クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い読了

※netabareari

いや、それは戯言だが

今となっては物語シリーズ等によって抜群の知名度になった西尾維新のデビュー作である。
2002年に発売ということで単純に年数だけ数えると10年越しで読んでいることになる。


西尾維新の作品をちゃんと読むのは初めてだったが、簡潔に結論だけいうとクビキリサイクルの時点でとても素晴らしい。
いわゆる戯言シリーズとして今後この物語がどんどん展開されていくのであればそれはそれは楽しみである。


語り部であるぼく。玖渚友によるといーちゃんらしい。哀川潤にもいっくんといわれているからには
由来が有るのだろうがそれはなんなのだろうなクビキリサイクルでは明らかにされていないように思える。


内容としては推理物になるのだろうがその枠にとらわれない感じというか。
とにかく俺の一番好きな最後にどんでん返しをして今までの前提条件をすべてひっくり返すような展開があって非常に歓喜している(ADVでいつも例えるのは車輪の国、向日葵の少女かな、まあるーすシナリオのものであれば)


まず、キャラクターの魅力がすごいな。赤神イリアを始めとした各界の天才達。各人の魅力がすごい。
少しびっくりなのは他のノベル作品などと比べて年齢層が若干高いというきがしたことか。
玖渚などのように若い奴らもいるが、基本的に20代後半、または30代という設定だ。


まずはなんといっても「ぼく」だろう。玖渚とのコンビでさらに魅力倍増だ。

玖渚友「えっちいことしようぜ」

玖渚は口調がまずいいなあ。「いーちゃん、いーちゃん、髪結って?」


玖渚は天才エンジニアであるため話してる内容にも少しワクワクした。
2002年当時から考えたものと現代からみたとでは若干見方が変わってくるところもあるだろう。


例えば玖渚のマシンのスペックをしているところでこんな話がある

「ふうん。 お前のハードディスクって何ギガだ? 100 ギガくらい? 」
「100テラ」

今となっては別にテラは驚くべき単位では内容に思えてくる

でも転送速度の点は全く歯が立ってない

「正しく言うとうとハードディスクじゃなくてホログラフィックメモリって言うんだよ。
ハードディスクみたいに線で記録するんじゃなくて面で記録する媒休なんだね。
一秒間にテラビット単位の高速転送。
市販されるのはもうちょっと…かなり時聞かかるんじゃないかな。
宇宙開発事業なんかに使われている記録メディアなんだ」

tbs(テラビットパーセカンド)なんてもう気が遠くなる数値だな


仮にもエンジニアの端くれである俺からしても玖渚のような生き方はすごい魅力的だ

ネットワークさえつながってればどうせどこにいようと同じだけど、やっぱり家が一番だからね

ふうん…楽しいかどうかはともかく、面白そうではあるな。
プログラム言語は何使ってるんだ? VB? C? 」
「機械語」ぶっちぎりの超低水準言語だった。

コンピュータとため口聞いている感じだろ?なんて発想は少なくともできなかったな。

その他の天才達

次に園山赤音。七愚人の一人である。
七人の偉人って設定結構あるよな。厨二の代名詞なんだろうか。


作中ではなぜ7という数字に着目しているか、それは人間が8以上の数字をたくさんの物としか認識できないからとある。


そして、天才絵描きの伊吹かなみ。と付添人の逆木深夜
占い師の姫莱真姫。料理人の佐代野弥生。そして島の主赤神イリアとメイドさん達みんな個性あふれていてみんな魅力的だ。



普通の人間であると陥るであろう思考についての等なるほどなあと思ったところが多々あったな

つまり、AのあとにBがあったからといって、AとB の聞に因果関係があるとは限らないってことだよ。
物事が時間的に、順序的に起こることは当然なわけで、そこに因果関係の有無は関係ないんだよね

館でいーちゃんが推理して解き明かした時に結局のところ園山赤音が犯人で共犯は逆木深夜という話になった。
当然疑問に思う俺も思ったがなんで逆木は赤音と組んで伊吹さんを手にかけたか。伊吹の付添人である逆木が。


その伏線は本土に戻った後とエピローグでもう一人の天才哀川より全て語られる。

そう、園山赤音。そう考えりゃ最初の疑問にも納得がいくだろ? どうして深夜は伊吹を殺したのか? 簡単だ。殺してねえんだよ。どうして深夜と園山が共犯関係を組んだのか? 簡単だ。組んでねえんだよ。

ここで、首切り殺人があった際には入れ替わりも疑えという伏線も回収するのだすばらしい。
天才についての話も仮想マシンの話にかけて回収するのだ素晴らし。


現実世界での出来事がはいっていたのもよかったな。ベータvsVHSとか


いやあ素晴らしかった。戯言シリーズ楽しみに一気に駆け抜けたい。

俺的名言集

ぼく(語り部)

世界は優秀に厳しい。世界は有能に厳しい。
世界は綺麗に厳しい。世界は機敏に厳しい。
世界は劣悪に優しい。世界は無能に優しい。
世界は汚濁に優しい。世界は愚鈍に優しい。

人の生き方ってのは、要するに二種類しかない。
自分の価値の低きを認識しながら生きていくか、世界の価値の低さを認識しながら生きていくのか。
その二種類だ。
自分の価値を世界に吸収されるか、世界の価値を殺ぎとって自分のものへと変えるの

つまり、AのあとにBがあったからといって、AとB の聞に因果関係があるとは限らないってことだよ。
物事が時間的に、順序的に起こることは当然なわけで、そこに因果関係の有無は関係ないんだよね

そうだな。
可能性が一つしかなかったら、それがどんなにありえそうにないものであっても、それが真実には違いない

―違うだろ……? こうじゃないだろ……?
こんなはずがない。
こんなわけがない。
こんな理屈があるもんか。

逆木深夜

逆木「関係ないんだよ、才能なんて。俺はむしろそんなもの持ってなくてよかったと思ってるね。
才能なんて、くだらない」
ぼく「どうしてですか? 」
逆木「そんなしち面倒なもん持ってたら、努力しなくちゃならないだろ? 凡人ってのは気楽なもんだよ。
《極めなくていい》ってのは、絶対に利点だと思うぜ、俺は」

園山赤音

ぼく「途中でやめたら意味なんかありませんよ。結果が全ての世の中です」
園山「全てが結果なのだと、私は思うけれどね。きみはまさか《天オは天才であり天才であり天才である〉なんて、おばかなことを考えているんじゃないだろうね? 」

相手が自分のことを好いてくれているということ。
それはとても嬉しいことだからだよ。
相手が自分を好きだということ、それだけで相手のことも好きになれるものなのさ」

きみは、欲しいと思わないかい? 必勝法のないゲームというものが

玖渚友

ネットワークさえつながってればどうせどこにいようと同じだけど、やっぱり家が一番だからね

「権威っていうのはあくまで結果のことだからね。できないとやらないは一緒なんだよ」

伊吹かなみ

「一週間でできることに三ヵ月も四ヵ月もかけるのはばかのすることだからね。
ばかでなければ怠け者よ。わたしはそのどちらでもないから、三時間でできることにそれ以上の時間をかけたりはしない」

見る者を選ぶようなものを、わたしは芸術とは呼ばないの

姫菜真姫

分かんない」真姫さんは少しシニックに笑った。
姫菜「あたしにはね、二年後以上の未来は見えないんだよ」
初耳だった。
ぼくは驚いた表情を隠せなかっただろう。
姫菜「秘密なんだけどね」と、真姫さんは続ける。
姫菜「だからきみと玖渚ちゃんが二年後以降どうなってるのか、あたしには分からないんだよ」
ぼく「それは能力の限界という意味ですか?」
姫菜「あたしが死ぬって意味」
あっさりと真姫さんは言った。
姫菜「あたしにとって時間は相対的なものなの。あたしにとって全ての時間はそこで終わるの。二年後の三月二十一日、午後三時二十三分。
それがあたしの命日と死亡時刻ってわけだね」
ぼく「……………」
沈黙するしかなかった。

哀川潤

哀川「そう。そして本物の園山赤音が殺された」
ぽん、とまたぼくの肩を叩く哀川さん。
一瞬思考が止まった。
しかしすぐに、驚樗が頭を襲う。
ぼく「…なんですって? 赤音さん?」
哀川「そう、園山赤音。そう考えりゃ最初の疑問にも納得がいくだろ? どうして深夜は伊吹を殺したのか? 簡単だ。殺してねえんだよ。どうして深夜と園山が共犯関係を組んだのか? 簡単だ。組んでねえんだよ。
組んでたのは伊吹かなみとだ。