WHITE ALBUM2-幸せの向こう側- introductory chapter 感想

二人とも、迷ったらあたしの音だけ聴け。なんとか導いてやるから。

「WHITE ALBUM2 -introductory chapter-」は、原作では1つのパッケージ作品として販売されている。
原作が発売された時の事をうっすらと覚えている。シナリオライターが「丸戸史明」というのを聞いてからだ。
かつて「パルフェ」を筆頭にいくつかの丸戸作品に魅了されていた身としては関心を示さざる負えない。
思い出補正入りまくりではあるが、個人的エロゲシナリオライター四天王に入れているくらいだ。

結局、その時「WHITE ALBUM2 -introductory chapter-」はプレイしなかった。感想を少し見るくらいで皆が皆最高の評価ではなかったことを覚えている。ネタバレなどはもちろん見ていない。

そして、「WHITE ALBUM2 -closing chapter-」発売まで時は流れる。
各所での評判はどこをみても"今年最高傑作"。やらないとなあという思いだけ重ねつつCS版の発売を知り当たり前のように購入してCS版発売から約1ヶ月。
序章と言うべきであろう「introductory chapter」がやっと終わった。そんなところだ。

ちなみに、「introductory chapter」は選択肢の存在しない為必ず作者の意図した順番で読むことになる。これも、「closing chapter」があるからこそであろう。


「introductory chapter」が終わった時点で、丸戸はまた大変な事をやってくれたなあという感じ。
プロローグでエピローグを流して、本編で回収するという演出自体は特筆すべき点ではないが明確に時間軸を過去に設定している点については好みの展開だ。

というのも、過去に設定すると主人公自身の回想になって自身が経験後の視点で語られることが多いと思っている。
そんな条件下に出現する表現で「この時の俺はまだ知る由もない。」というようないかにもフラグっぽい言い回しがすごい好き。
本編中ではその言い回しも含め、伏線の回収が大小含め綺麗に行われている辺りはやっぱいいよねえ。
大袈裟な想像をさせようと煽りつつ拍子抜けする内容だったり、伏線っぽいけどなんもなかったり。もしくは「closing chapter」まで引っ張る伏線なのかもしれないが各々よかった。

一番、やめろよ。それだけはやめてくれ。と思ったところは春希と冬馬が過ごす最後の夜の救急車のサイレン。
救急車のサイレンがあんなわざとらしく聞こえたらそりゃ最悪の事態を想像するだろうって。
やめてくれほんとそういうの。

二つ俺の中で回収出来ていないことがあって、一つは冬馬と小木曽が廊下で初対面する時の表現。

俺はこの時、全然気づいていなかった。
小木曽のタイミングが絶妙だったことも。
冬馬の表情がやたら微妙だったことも。

この時点で、両者に因縁または関係性があるのかと思わせる表現だけどそんなことないように思えたしどうなんだろう。

もう一つは、冬馬宅で雪菜がトラベルセットを探してるところで「青」に反応しておりその後へこんでいるところ。
春希よりも雪菜が先に洗面所にいったから(一緒に来た合宿の日に持ってきていたとしても)青いトラベルセットがあるのはおかしいってことなんだろうか?
あと青ってなんだろう。それならトラベルセットがあるだけで誰か泊まりに来てるってことでいいと思うんだけどさあ。読解力不足だなあ。


ついでに好きな表現上げておこう。コスプレ衣装のまま冬馬宅に連れてった時の奴

大正時代の女給さんとのスキンシップに、
現代っ子、である冬馬は慣れていなようだった。


「WHITE ALBUM2」とナンバリングタイトルなだけあって過去シリーズの関連もある。
「緒方理奈」の名前が出た時にハッとして、そういえばナンバリングなんだよなあと改めて思い出し先にやっておいたほうがよかったよなあと思った。
まあ、シリーズ未経験の上でプレイする「WHITE ALBUM2」というのもプレイ済みだと味わえない経験だろうからそれはプラスに考える。
「WHITE ALBUM -綴られる冬の想い出-」あたりを次はやろうかなあとも思っている。


音楽が物語に関わっているという事もあるからなのか力が入っているように感じた。
綺麗なピアノ演奏のBGM等随所でいいなあと。あと、細かいところではあるがメニュー画面を開いた時に曲名が左下に表示され、さり気なくアニメーションもついてるあたりで俺はよいなあと思った。
些細なものなんだけどあるとないではだいぶ違いそう。


プロローグでも3人と1人と語られていて、この1人は「飯塚武也」であると思っている。
彼はいわゆる、イケメン悪友枠で大抵主人公が道を踏み外しそうになるとなんとしてでも軌道修正させようとするタイプ。
今回は、注意する程度でとどまってはいるがそういう役柄の男は好き。
で、そういう役柄が存在するときは大抵主人公もおもしろい事が多くて今回もよかった。
喋りがとてもおもしろかったなあ春希。こういう感じを受けたのはかなり久々な気がする。
覚えている限りで言うと「それは舞い散る桜のように」の桜井舞人くらいかな。俺の記憶に残っているのはあいつくらいだ。あいつにも悪友というか親友のイケメン枠がいたしな。

どうでも良いこと足すけど、武也が最初"会長"って扱われていたのに途中から"部長"になったのはなんなんだろう。
人数増えたから同好会から部に昇格したのかと思ったけどそんなこともなさそうだし。単純なミスなんだろうか。


両ヒロイン。雪菜は、あざとかわいいというか男が落ちるような事を普通にやってくる感じで、まあそりゃかわいいし好きだけど随所随所のニヤニヤ度は冬馬に負けるかもしれん。
それと、猫かぶってる学校での方が好きだね。
雪菜が一番かわいかったところって個人的には一人称が"お姉ちゃん"だったところ。小木曽宅に初めて春希と冬馬が言った時に行ってたところ。
それに対し、かずさは「この馬鹿」「おいおい」「こら」みたいなそんなところ。まあ、クーデレというか普段は冷たいやつなのにたまに見せる愛くるしいところにやられるわけね。
一番はこの辺なんだろうけどねえ。

「あたしが弾けるようにしてやる。
…お前の言う、カッコいい男にしてやるから」

主人公枠としてフラグ立ってる以上しょうがないんだがデレるスピードが異常にはええよなあ。
あと、師弟関係っていうのがいいね。俺も弟子入りしたいデス!


学園祭以降は、本当にすれ違いが明確に表現されていて苦しい感じ。
春希視点での話しかないので雪菜視点、かずさ視点で心情をもっと知りたいね。
三人を守るために言葉を紡いでいる場面が多かったしとても辛いのだけどさ。

にしても学園物は本当に仲間と散々バカやって現実との対比でより辛くなる一方ですな…


「closing chapter」予告があったが原作時と同じ演出なのかな?買わざる負えない演出だね。


これがまだ、「introductory chapter」であり前後編の前編でありという事を再確認しつつ「closing chapter」への期待で爆発しそう。