WHITE ALBUM2-幸せの向こう側- closing chapter 杉浦小春ルート 感想

俺…もしかしたら、致命的な判断ミスしたかもしんない

丸戸作品は、経験上トゥルーエンドとなるメインヒロインが一人以上いることがほとんどだと思っていて大抵そのメインヒロインとは個別ルートに入らなくても距離は近いし親密な関係を持つ事が多いと思う。
今回も、雪菜とかずさは別格のメインヒロインとして扱われていてその他は実質サブヒロインだと思っている。

小春√でもトゥルー√に負けないレベルであろうすれ違いの表現が繰り返されていて、本当に本作で表現したかったことなんだろうなって。
春希が雪菜と決別するっていうことだけでも「introductory chapter」から積み重ねてきた事を思えばインパクトがあるのに。
小春と美穂子のすれ違い。小春を中学時代の雪菜に重ねあわせ。小春を付属高時代の春希に重ねあわせ。小春と孝宏を春希と雪菜に重ねあわせ。
そこまでやるんかっていう徹底ぶりというかプロ根性を見せてもらえた気がする。

小春の、小動物的な可愛さを表現しようという部分が見受けられてなるほどなあと。
文章で小動物っぽい可愛さ表現するのってなかなか難しいと思うんだけどどうなんだろう。
二年参りの帰り道での表現とかが代表的だけど随所に出てたと思う。

歩き出した俺の後をとことこついてきた。

「私、ビッチになります」発言をしてからは本当孝宏の言う通り「こいつどこへ向かっているんだ」感がすごかったけど頑張る子に戻れてよかったよ。

小春と雪菜が話をした後、外から見える雪菜の対比が辛かったしこの描写の違和感をよりすくなくするために春希と小春の容姿を似せているんじゃないかと憶測をするレベル。
この演出も小春の受験が終わった後に見せてくれることで辛いレベルあがったしこういう表現はいいよなあ。
エピローグ時も後出しでさりげなく一年後っていうこと付け加えてやがるしそういう素直に終わらないところっていうのは癖になるし魅力的だと思う。

俺の理想としては、美穂子が小春の答辞を受けて美穂子も思いをぶつける場があってもいいのかなと思った。
一番いいのは卒業式の答辞のところで登場して全校生徒に向けて小春の汚名返上するっていうのがよいかなと思ったがそれは綺麗すぎか。
小春とのリスタートで締めるという構成になってる以上なにをいれても蛇足だと思うんだけど美穂子に期待をしてたってことなんだろうなあ。
まあ誰もが「比較的」幸せになれるという小春の希望を反映してのみんなが少しずつ幸せになれることは達成できているし。

小春√で小春が成長していく描写があって「誰に対しての誠実」がなんなのか気づいていくところ。
春希自身三年前からなんにも変わってないと言ってはいるがここが春希が最も成長した部分で今回小春が成長したところではないか。
こういう生き方って俺は正直苦手で特定の少人数に対して信仰を深めて行くほうが楽なんだよな。どう考えても。

武也がマジでキレてるシーンとかはやっぱり凄い好き。殴る描写を入れなかったのは意外。
殴らなくても理解し合える仲。っていう解釈が最も適しているのだと思う。
春希との話の最中に女からの電話を拒絶するときの武也とか最高にかっけえしたまんねえ。

「今の俺に話しかけるな。
今のお前にはマジでムカついてんだ」

雪菜と決別してから武也と依緒とは無事に関係を続けられてるんだろうか。それだけが心配。


サブヒロインの中でも別格の扱いを受けてるような印象を受けたが、これからの個別ルートもこのボリュームで襲い掛かってくるのだろうか。恐ろしい。